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「海外移住で体験したこと考えた事。三十年で出会ったもの」
東南アジアで着実に発展してきたタイ。この激動の時代三十年を起業家として生きた著者の、七転八倒の人生を伝えたい。ビジネスやプライベートで出会った人や家族、市民を従わせる者としか考えない官僚たち、ルール無用の商売人たち、偶然出会ってしまった事故や事件、経験を通し考察したこの国の社会、歴史まで。
著者: 小川邦弘
日本税理士合同事務所タイランド ogawa@nihon-zeirishi-cooperate.com

タイ南部の洪水被害

年明けより大雨が断続的に降り続け、深刻な洪水の被害が連日報じられている。中部タイでは11月から2月までが乾季であって、この時期は年間で最も雨量の少ない季節なのだが、南タイの東岸、つまりシャム湾側は元々、雨季明けが1月となる。

これまでの被害は、死亡者36名、約40万世帯120万人に膨れ上がっている。1,100校の学校が閉鎖されているという。この状況に対し政府内務省災害防止軽減局が中心となって軍部隊も投入し、救助や被害拡大防止に手を尽くしている。しかし早くとも明日1月19日まで降雨は続くらしい。チュムポン、スラートタニ、ナコンシタマラート、パッタルン、ソンクラーの5県では土砂崩れの危険があるのと注意喚起が発っせられた。現状での被害額は100億~150億バーツ(日本円にして約323億~484億)と推計されている。

今回の被害は純粋に大雨による自然災害だが、元よりタイの国土の大きな部分が低湿地帯であり、また歴史的な基幹産業が農業であるということで、各地方都市には「王立灌漑局」の事務所が配されている。バンコクの本局では日本から派遣されるJICA(国際協力機構)専門家等の協力を受け、大局的な調査・報告業務を行っている。また各地方の灌漑局事務所では制度上、洪水の被害予測、通報義務を行うことになっているものの、毎度のことながら今回もその義務を果たしていないために住民被害が拡大したとの批判を受けている。日本的に考えれば、気象庁と灌漑局の間の連携が出来ていない、つまり縦割り行政の被害、という解釈になるのだが、毎日の天気予報さえ市民があてにしている様子はないのだから、連携したところで正確な情報もありはしない、ともいえる。むしろ洪水慣れしている庶民の側がたくましい。水没した自宅の前で、投網にせいを出す若者などはその典型だ。この臨機応変さは見習いたいと思う。

弊社にても南タイ出身の社員がおり、先週、彼女の実家が被害を受け3歳になる息子さんの面倒を見ている親戚の方が南部の実家へ帰ったことで、母は数日息子さん連れで出勤していた。過去に数度報じた2011年のバンコク大洪水時には皆が階上の駐車場や高架の高速道路に押し掛け駐車し、車の被害を何とか避けたのだが、地方ではその様な建物も高速道路も無いのだから、車両は100%水没しているだろう。車両価格は日本の2倍なのだから、庶民にとってこれは大散財に違いない。

常に自然の脅威に晒されても、風にそよぐ葦のごとく柔軟に、しかも逞しく生き抜く東南アジアの人々に、幸あれ!

ws
 
写真: タイ英字紙「ネーション」より

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