法人設立→会計税務・経営管理にまつわるQ&A 1

1 「駐在員の日本給与立替精算に係る税務」について
Q 昨今は日本の税務署も、駐在員に支払う駐在期間に於ける日本給与について、駐在国に於ける費用とすべきという方針を徹底しつつあります。ただつい最近になって現地法人より、立替給与精算においても税務申告が必要になったとの報告がありました。
 どの様な内容なのかご教示いただけますでしょうか?

A 従来、立替精算については税務申告の対象外というのが共通認識でした。言わずもがな、現地法人の費用を日本法人が立て替えた→現地法人は日本法人に返済した、これだけのことです。何の消費も利益も生じていません。しかし2~3か月前より、「税務署から源泉徴収とVATの申告をすべきとの指摘を受けた」という話を耳にする様になりました。当初私は当然のことながら、「単なる立替精算に課税されることはあり得ない」と主張し無視していました。ところが最近になって、当局は「送金先である外国法人は、
送金元の現地法人に対し派遣業務と同様のことを行っているので、これは利益送金と見做す」と、信じ難い見解を示し、送金時には源泉徴収を行い、翌月に申告納税、同時にVATも発生するとして納税(ただし同時に還付分に加算)という、海外に対するサービス料送金と同様の手続きを義務としました。全く納得のいかない内容ですが、当面従う他無いと思います。

2 「受注取消により生じたコストの請求」について
Q 当社は電子部品の製造を行っておりますが、この度顧客側の都合により受注が取り消され、弊社としてはすでに親会社より主要な部品を輸入しており、しかもこれらは他製品に流用できない物で、大きな損害が生じました。この処理方法として、親会社からのコストの請求を受け、さらに顧客に対して請求を行わなければなりません。どの様な証憑を発行したら良いか、また通常の販売とは異なる税務処理がありましたらアドバイスお願いします。

A 先ず仕入に対する親会社からの請求ですが、通常のインボイスまたはデビットノートを発行してもらって下さい。また、御社から顧客へは、インボイスを発行します。その際、これは損害に対する補てん請求ですのでVATは発生しません。

タイ歳入省の税捕捉術

多くの発展途上国と同様、当地の納税者は一般的に納税意識が高くはない。個人商店で買い物をすれば、催促をしても公給領収証はなかなかいただけないし、それでも会社費用として計上するのだからと付加価値税税額表(Tax Invoice/Receipt)の発行を求めれば、付加価値税分の支払いをここで初めて求められる。また法人経営と直接関係する例では、賃貸契約はするがオーナー側の事情で領収証は出せません、などと堂々と言われることがある。いずれも納税逃れが目的であることは間違いない。呆れたことに日本人経営の個人企業においても、このようなローカル事業者を見習い、言を左右にして領収証を発行しないという例もある。

また常々思うのだが、高速の入り口にある料金所で料金を支払う際、ここでも要求しないと領収証を渡されないことが多い。利用台数を考えれば大変な金額に上る支払いであることは間違いないのだが、支払った金銭の行方が心配になる。
つまり国家経済のかなりの部分が、証憑類や税務処理を介さない闇経済の中で行われているということになる。税務署員が極端に少ない(2~3万人)という徴税側の問題もある。
税務側の対抗手段としては、多くの取引に対し源泉徴収義務を課し、税務申告を待たずに徴税を行っている。国内取引に対しては物品以外のほぼ全て、例えばサービスの提供、請負業務、賃貸、広告業、コミッションの支払い等々に対し2~5%を課税する。ほぼすべての海外への支払い(利益送金)に対しては15%が課され、銀行送金の際には為替管理の目的もかねて支払い内容を示すインボイスその他のエビデンス提出が求められ、銀行側からも源泉徴収手続きが求められる。配当金の支払いに対しては国内・海外を問わず10%が課される。
また付加価値税の処理がインボイス制であり、毎月の税務申告イコール確定申告、という制度にも現れている。ここでは前月度の仕入れ・会社費用と売上額、それぞれ発生する付加価値税額を待ったなしで申告し、売上VATの金額が仕入VATの金額を上回る分を納税しなければならないのである。
また税務調査においては、担当税務官が調査の上、積み上げた税務申告上の瑕疵について納税側に説明する。ここで税務処理上の事実を証明すべきなのは税務官側ではなく、納税者側が如何に正しい処理・税務申告を行ったかの立証義務を課される。税務官が推定した内容は基本的に正しいものとされ、そこから導きだされた追徴額が裁定として有効とされる。
 時々、極端な例を妄想してしまったりもする(まったく事実無根です)。

弊社の顧客であった故人H氏の労働許可証返却を3月あたりに依頼されたとする。労働省へ出向くと担当官は、「この方は2015年の個人所得税確定申告を行っていませんので、申告納税を行ってからその申告書、領収証の写しをご持参の上当手続きにいらしてください」「え?故人に署名をしろということですか?」「いいえ、ネット申告ができますから署名は不要です」
申告を行った上で再度出向くと、「確定申告は生前におこなうべきものですから、申告遅延ということで罰則金および延滞金分を修正申告された上で、その申告書、領収証の写しもご持参お願いします」「えーー?」故人からでも徹底的に徴税しようというこの努力、実に見上げたものではないか。

2015年タイ投資委員会新奨励政策

 2015年1月1日付にて新奨励策が施行され、タイ・ビジネス関係者の間で話題になっている。

 オフィシャルな政策内容詳細についてはJETROを始めあちこちのWEBサイトで解説されているのでそちらに譲りたい。

 奨励対象のビジネス・カテゴリーを見ると、バイオ、ナノ、有機農業、リサイクル、ハイブリット、環境、クラウド、省エネルギーと、世界の経済潮流に習った業種が並んでいる。
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税務官の推定課税

 以前、タイ国の税務については個別案件を挙げ解説したことはあるが、今回はもう少し踏み込み、税務調査の大前提という様な課題を取り上げる。

 日本では税務官が会社を訪問し必要書類およびデータの閲覧を求め、損金否認等の材料を突き合わせ、経営者に対し理詰めで追及する。即ち当局の側に立証義務がある。

 しかしこれが当地では逆転する。抜き打ちの訪問もあるにはあるが一般的には、先ず「これこれの証憑およびデータを揃え、何月何日何時に出頭されるべし」との出頭要請が郵便で送付される。
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