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「海外移住で体験したこと考えた事。三十年で出会ったもの」
東南アジアで着実に発展してきたタイ。この激動の時代三十年を起業家として生きた著者の、七転八倒の人生を伝えたい。ビジネスやプライベートで出会った人や家族、市民を従わせる者としか考えない官僚たち、ルール無用の商売人たち、偶然出会ってしまった事故や事件、経験を通し考察したこの国の社会、歴史まで。
著者: 小川邦弘
日本税理士合同事務所タイランド ogawa@nihon-zeirishi-cooperate.com

大洪水以降のタイにおける日系企業動向

最近のタイにおけるトピックと云えば、やはり昨年10~11月に起きた大洪水の被害と日系企業のその後だろう。

バンコクの心臓部である都心こそ被害に遭わなかったものの、タイに進出している日系企業約8,000社の内、およそ1,000社が被災した。
「東洋のデトロイト」と呼ばれるタイには、代表的な自動車メーカーがすべて進出しており、今や当地の基幹産業となっている。この内、直接浸水被害に遭ったのはホンダ1社であったが、部品工場であるサプライヤーが多く被災した為、一時はすべてのメーカーが操業停止を余儀なくされた。

しかし水が引いた直後より各工業団地、各工場では復興、設備の整備・入れ替えが急ぎ実行され、1月の自動車生産は、ホンダを除き災害前と同様にまで回復した。ホンダの生産再開も3月26日に発表された。当時は被災企業が他国へ移転してしまう可能性も指摘されたが、当地における大規模なサプライ網は、自動車生産メーカーが動かない限り揺ぎ無いということだろう。さらに各メーカーの投資意欲は引き続き旺盛であり、三菱自工も今年タイ東部に新工場、トヨタも2013年に新工場、業種は違うがキャノンも2月に新工場着工と発表された。多くの協力工場タイ進出も先月、相次いで発表されている。

被災前の自動車生産高は年間180万台とされていたが、2012年における200万台という予測も軽く超えるだろうと云う業界関係者の声も聞く。現在のターゲットは洪水対策としてピックアップの国内販売、エコ・カーと小型車の国内販売と輸出である。
タイ国投資委員会(BOI)の発表によれば、昨年日本からの直接投資は、件数にして前年度比53.8%増(560件)、金額にして85.6%増(1,938億4,300万バーツ)とのことだ。また被災企業に対する優遇措置として、企業が移転せずに留まり事業を再開する場合には法人所得税を8年間免除、後の3年間は半額に、という方針を打ち出したのも事業継続意思の後押しをしたであろう。

災害の主な原因は、雨量の多さも去る事ながら、治水の失敗が指摘されている。即ち北部のプミポン・ダムおよびシリキット・ダムからの放水量管理が上手くいかなかったこと、また北部からの雨水をシャム湾に流す為の放水路の整備ができていなかったことだ。これに対し現インラック政権は被災後直ちに洪水対策の委員会を設置し、上記ダムの管理強化、放水路となる各運河の管理システムを確立し、この様な災害は繰り返されないと断言した。 
更にかなり以前より計画されながら施工に至っていない大規模な運河掘削計画を検討しているが、これは資金の問題で難航している。

被害を受けた工業団地サイドも、2m以上の防護壁を団地の周囲に設置するなどの対策を行っている。

また、良い意味で洪水慣れをしており、自宅の階下が水没しても冷静な行動のとれる当地の庶民の大きな助力が無ければ、この様な早期復興は有り得なかったことを付け加えて置く。

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