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「海外移住で体験したこと考えた事。三十年で出会ったもの」
東南アジアで着実に発展してきたタイ。この激動の時代三十年を起業家として生きた著者の、七転八倒の人生を伝えたい。ビジネスやプライベートで出会った人や家族、市民を従わせる者としか考えない官僚たち、ルール無用の商売人たち、偶然出会ってしまった事故や事件、経験を通し考察したこの国の社会、歴史まで。
著者: 小川邦弘
日本税理士合同事務所タイランド ogawa@nihon-zeirishi-cooperate.com

バンコクに於ける防災・防犯

日本での地震災害が毎日の様に報道される中、翻って我が居住地での防災ということを考えてみた。人は元来、近い将来に降りかかる可能性のある災いに対しては防ごうという意識が高い。が、そうでないことについては忘れがちだ。従って犯罪の多い地域では、当然防災の前に防犯を心掛ける。

近年バンコクに於いても、経済成長に伴い単純な空き巣や置き引きの様な犯罪は減ったように感じる。かつては戸建て住宅の屋根瓦を剥がしそのまま侵入してしまう泥棒の話もよく聞いた。つまり安普請の建売では瓦の下が直接天井パネルという侵入し放題の様な造りだったのである。また居住者が日本出張中に、雇われていた通いのメードが家財道具をそっくり自分の部屋に移動していたこともある。幸い私自身はその様な被害に遭ったことは無く、唯一日系デパートのスーパーで買い物カートに置いたバッグから30秒ほど目を離した隙に盗まれ、すでに周辺には誰もいないという離れ業に遭った。当時、スーパーは通常、一人一人遊園地の入退場口の様にガッチャンと棒を倒さないと通過できない造りになっていたが、その店では日本式に開放的な造りになっており、窃盗犯も自由に逃亡できる店構えであった為にターゲットとされていた様だ。

最近よく聞くのは、日本人の多い地域で日本語を話しかけてきて、隙を見てiphoneをひったくるというもの、または煙草のポイ捨てを見てニセ警官が罰金を要求するというものである。どちらも知能犯であってしっかり狙いを定めた犯罪だ。そういえば数年前、帰宅する路地で青年に話しかけられ「僕はイサーンから来たんだけれども、家へ帰るバス代が無いので貸してくれないか?」と言われた。ありそうな話ではあるが、イサーン(東北地方、一般的に貧しい地域とされている)の人は、少し蔑称のニュアンスがあるのであまりイサーンとは口にせず県名を言うので、少し迷った末にその場を離れた。帰宅後息子に、やはり嘘かなあと話すと「あったりまえじゃん」と一笑に付された。こういう消極的な、良心的な詐欺的行為は今も昔も多い。

防災については上に述べた様に、木造建築が非常に少ないため火災も少ない、地震災害の可能性はさらに少ないという理由から、認識がかなり希薄と云える。伝統的に極端な経済格差がある為、防災に関しても「カネ次第」ということがある。都心のオフィスビルやマンションでは、消火設備の点検を怠らない。マンションによっては火災訓練も実施されている。また警備員は常に複数、というかかなりの人数が配置されている。対し中級以下のアパートでは、完全にさび付いた様な消火器が堂々と備わっていたりする。
ただし認識しておかなければならないのは、近年に建てられたものでない限り、スプリンクラーは絶対といっていい程作動しないというのが定説となっている。消防法の縛りもあまり無く、またこればかりは作動試験を行えないという事情もあるだろう。

全くの余談だが、私はつい先日北インドのハリドワールというガンジス河沿いの街に滞在していた。ホテルの部屋も河に面したテラスのあるまことに景色の良いものであったが、開け放ったテラスから大きなサルが2頭侵入し部屋を物色していた。大声で追い払ったが1頭が何か手に持っていたので確認してみると結局被害はのど飴1パック。サルの世界に貨幣制度が無くて本当に助かった。
私の盗難被害アップデート、でした。
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タイ歳入省の税捕捉術

多くの発展途上国と同様、当地の納税者は一般的に納税意識が高くはない。個人商店で買い物をすれば、催促をしても公給領収証はなかなかいただけないし、それでも会社費用として計上するのだからと付加価値税税額表(Tax Invoice/Receipt)の発行を求めれば、付加価値税分の支払いをここで初めて求められる。また法人経営と直接関係する例では、賃貸契約はするがオーナー側の事情で領収証は出せません、などと堂々と言われることがある。いずれも納税逃れが目的であることは間違いない。呆れたことに日本人経営の個人企業においても、このようなローカル事業者を見習い、言を左右にして領収証を発行しないという例もある。

また常々思うのだが、高速の入り口にある料金所で料金を支払う際、ここでも要求しないと領収証を渡されないことが多い。利用台数を考えれば大変な金額に上る支払いであることは間違いないのだが、支払った金銭の行方が心配になる。
つまり国家経済のかなりの部分が、証憑類や税務処理を介さない闇経済の中で行われているということになる。税務署員が極端に少ない(2~3万人)という徴税側の問題もある。
税務側の対抗手段としては、多くの取引に対し源泉徴収義務を課し、税務申告を待たずに徴税を行っている。国内取引に対しては物品以外のほぼ全て、例えばサービスの提供、請負業務、賃貸、広告業、コミッションの支払い等々に対し2~5%を課税する。ほぼすべての海外への支払い(利益送金)に対しては15%が課され、銀行送金の際には為替管理の目的もかねて支払い内容を示すインボイスその他のエビデンス提出が求められ、銀行側からも源泉徴収手続きが求められる。配当金の支払いに対しては国内・海外を問わず10%が課される。
また付加価値税の処理がインボイス制であり、毎月の税務申告イコール確定申告、という制度にも現れている。ここでは前月度の仕入れ・会社費用と売上額、それぞれ発生する付加価値税額を待ったなしで申告し、売上VATの金額が仕入VATの金額を上回る分を納税しなければならないのである。
また税務調査においては、担当税務官が調査の上、積み上げた税務申告上の瑕疵について納税側に説明する。ここで税務処理上の事実を証明すべきなのは税務官側ではなく、納税者側が如何に正しい処理・税務申告を行ったかの立証義務を課される。税務官が推定した内容は基本的に正しいものとされ、そこから導きだされた追徴額が裁定として有効とされる。
 時々、極端な例を妄想してしまったりもする(まったく事実無根です)。

弊社の顧客であった故人H氏の労働許可証返却を3月あたりに依頼されたとする。労働省へ出向くと担当官は、「この方は2015年の個人所得税確定申告を行っていませんので、申告納税を行ってからその申告書、領収証の写しをご持参の上当手続きにいらしてください」「え?故人に署名をしろということですか?」「いいえ、ネット申告ができますから署名は不要です」
申告を行った上で再度出向くと、「確定申告は生前におこなうべきものですから、申告遅延ということで罰則金および延滞金分を修正申告された上で、その申告書、領収証の写しもご持参お願いします」「えーー?」故人からでも徹底的に徴税しようというこの努力、実に見上げたものではないか。

タイ社会の持つ包摂性について

下世話な話だが、タイは美人の多い国である。但し振り返りたくなる様な美人を見たら、先ず気を付けるべきことがある。それは何か?
先ず手足の大きさを見る。骨格(主には肩幅)を確認する。この確認を怠って異性としての興味を持ってしまうと、大きい割合で落胆することになるのでご注意願いたい。あるレベル以上の、しかもはっきりした顔立ちの美形の方は、生物学的には男性であることが非常に多いのである。何しろ100%の努力で創り上げた美貌なのだから、生を受けた時から自然に持っているという油断のある女性には決して太刀打ちできないものがある。

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多国籍面談

面談の登場人物
BOI投資促進官   A氏        D社社長     E氏
同         B氏        D社マネージャー F氏
KOTRA D社担当職員 C氏        私
A氏「こんにちわ。では御社の会社とタイで製造を行う製品と工程について説明してください」(タイ語)→ 私がF氏に通訳(日本語)→F氏がE氏に通訳(韓国語)
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