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「海外移住で体験したこと考えた事。三十年で出会ったもの」
東南アジアで着実に発展してきたタイ。この激動の時代三十年を起業家として生きた著者の、七転八倒の人生を伝えたい。ビジネスやプライベートで出会った人や家族、市民を従わせる者としか考えない官僚たち、ルール無用の商売人たち、偶然出会ってしまった事故や事件、経験を通し考察したこの国の社会、歴史まで。
著者: 小川邦弘
日本税理士合同事務所タイランド ogawa@nihon-zeirishi-cooperate.com

若者の国カンボジア(その1)

 タイのバンコクから70分のフライト、カンボジアの首都プノンペンまでは国内の地方都市と変わらない距離だ。

 かつてこの国には、といっても20年以上前なのだが数度入国している。確か2度は空路でプノンペンに、1度はタイの東の国境を小さな船で超え、現地の人に紛れてカンボジア側のコン島という島に上陸した。厳密には不法入国であったのだろう。

 その頃は日本の自衛隊や警察隊を含めたPKOが駐屯し、一時的な好景気が出現していた。なにしろそれまで外国に対し閉ざされていた国に大勢の外国人がドルを持って入ってきたのだから、現地側にしてみればそこらじゅうで札束が舞っている様に感じられたと思う。また同時に、難民として海外へ移住していた人々がドッと帰国した時期であった。その難民と言われていた人々の大半は財産を抱えて共産主義政府から逃れた経済難民であった訳で、開かれた祖国で再びビジネスの基盤を築こうという人々も多かった。私が知り合った二人も例外ではない。一人は、バンコクに脱出し宝石商を営んでいたJさん、当時プノンペンで唯一の5スターホテル「ホテル・カンボジアーナ」を開業されていた。他に外国人が宿泊できるホテルが皆無であったことから、日本大使館もマスコミ各社も、また大商社も、当然PKO部隊も皆こぞってこのホテル内に事務所を構え、関係者が宿泊していたのだから、オープンと同時に大盛況であった。一度、当時の副首相も加わった会食に、何故か私も同席させていただいた。ホテル開業時の苦労話が傑作だった。会社というものがあまり無い国で従業員を雇用するということは、まず給与労働の基本を理解させなければならない。面接で給与額の話はよく聞いているが、何を源泉として給与が支払われるかを理解しない者もいて、何故毎日決まった時間に出勤しなければならないのか、というところから説明しないと、給料日に出てくれば良いと考える者もいる。革靴を履くという習慣も無いため、靴が堅くて足が痛いからと、支給した靴を皆でホテルの面している河川へ持っていき水に漬けてしまう。ホテルの客は客で、レストランで出された食器類が美しくて珍しいからと、食後にナプキンで拭いて持ち帰ろうとする。しかしこの様な重要な席で、与太話しか記憶していないとは情けない限りだ。

 もう一人は、日本へ脱出された、こちらも中国系カンボジア人のKさん。東京の代々木でカンボジア料理店を経営されていたが、やはり国が開かれたと同時に祖国でのビジネスを再開され、確か当時は、新聞の発行権を獲得されたとのお話を伺った。日本で一度店をお尋ねし、その後バンコクでも数回お目にかかった。その際、PKOは一時的なものだから、カンボジアでのビジネスは慎重にすべきだと釘を刺されたのを記憶している。

 その頃のプノンペンと云えば、PKOを当て込んだタイ人、ベトナム人、日本人がこぞってレストランやマッサージ店、ナイトクラブなどを開業していたが、恐らく一時的なものだったであろう。

 それから20年が経過し、今回訪れた街は全く別の国に生まれ変わっていた。周囲を圧倒する政府庁舎やオフィスビルが立ち並び、走る車は大型高級車ばかり、若者が圧倒的に多い職場で、皆目を輝かせて働いている。

 もちろん行政やビジネスのシステムが確立するまでにはまだまだ時間がかかるであろうし、今現在の賑わいは直接投資バブルであることも理解できる。この7年間で、経済特区への直接投資に限っても16億ドルに上っている。日系企業は200社を超え、日本人学校も開校し、大規模なイオン・モールも営業を開始した。

 しかし一番の魅力は、外資に対する規制が皆無だということだ。農業から金融に至るまで、すべて外資のみで行える国は他に例が無い。日本の農業技術を以て、格安の労働力(最低賃金はタイの約50%)で生産を行えるとは、正に新天地と云って良いのではと思う。今回プノンペンの中央市場をリサーチしたが、考えられる野菜は皆揃っており、やはり価格もタイにに比べかなり安価であった。引き続き次回も報告する。
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